・腸内環境を荒らしたり、吸収が悪いのが非ヘム鉄の特徴
・吸収を考えるならばヘム鉄が望ましい
・鉄はフィチン酸やミネラルによって吸収阻害を受けるため、食事とのインターバルを考えるならば、4時間程度空けるのが無難
鉄の種類による吸収率の違い
鉄の種類
鉄には大きく分けて、
・ヘム鉄(肉や魚などの動物性食品に多い)
と
・非ヘム鉄(野菜や豆、穀物など植物性食品に多い)
があります。
一般的に、ヘム鉄は体に吸収されやすく、食事内容の影響も受けにくいので、ヘム鉄の方が吸収が良いと言われています。
一方で、非ヘム鉄は吸収されにくく、食事の内容によって吸収率が大きく変わります。
目安としては、ヘム鉄は15〜35%ほど吸収されるのに対し、非ヘム鉄は2〜20%程度にとどまることが多いとされています。
ざっくり言えば、ヘム鉄の方が2〜4倍ほど使われやすいと考えると分かりやすいです。
そこで生まれたのがキレート鉄というものです。
キレート鉄とは
キレート鉄とは、鉄をアミノ酸や有機物で包み込んだもののことです。
イメージとしては、むき出しの鉄をそのまま飲むのではなく、アミノ酸の殻で包んで運ぶような感じです。
この形にすることで、
胃や腸で他の成分と反応しにくくなる
吸収されるまで安定した状態を保ちやすい
胃腸への刺激が出にくくなる
といった特徴が出やすくなります。
またここが重要なポイントですが、キレート鉄とは非ヘム鉄のことです。
前述したように、非ヘム鉄は吸収が悪いので、キレート化することによってその吸収の悪さをカバーしてやろうというのがキレート鉄の発想です。
しかし、腸内環境を荒らすのも、吸収が悪いのも非ヘム鉄の特徴です。
また、キレート鉄は非ヘム鉄の吸収を無理やり上げているため、根本的な解決にはならないといった見方もあるようです。
鉄の吸収を妨げると言われている栄養素
コーヒーや紅茶に含まれるタンニン
コーヒーや紅茶、緑茶に含まれる渋み成分(ポリフェノール系)は、特に非ヘム鉄と結合しやすく、吸収を下げることが知られています。
動物性のヘム鉄は比較的影響を受けにくいですが、野菜や穀物由来の鉄を中心に取っている人は影響を受けやすくなります。
研究では、食事と一緒に紅茶を飲むと、鉄の吸収が大きく下がることが報告されています。
コーヒーも同様の作用がありますが、一般的には紅茶の方が影響が強く出やすいとされています。
また、濃いほど影響が出やすい点もポイントです。
飲むタイミングとしては、食事中〜食後すぐが最も影響を受けやすいと考えておけば十分です。
では、実際鉄とタンニンはどれくらい時間を空けるべきでしょうか?
現実的には、鉄を多く含む食事や鉄サプリの前後30分から1時間ほど控えると十分みたいです。
こちらの研究では、英国の健康な女性12人(平均年齢24.8歳で鉄欠乏ではない)を対象にお茶を飲むタイミングで非ヘム鉄の吸収がどれだけ変わるかを検証しています。
英国での研究ということで、お茶はお茶でも紅茶でしょう。
結果として、非ヘム鉄の吸収率(分画吸収率)は、水:5.7%±8.5%、同時にお茶:3.6%±4.2%、食後1時間にお茶:5.7%±5.4%でした。
つまり、確かにお茶を鉄と一緒に飲むと吸収が下がる一方で、1時間ずらすと水と同程度まで回復しています。
フィチン酸
フィチン酸(フィチン酸塩)は、玄米や全粒粉、豆類、ナッツなどに多い成分で、鉄・亜鉛・カルシウムなどのミネラルと強く結びつく性質があります。
これらが結びつくと水に溶けにくい形になり、腸で吸収されにくくなるため、いわゆるミネラルの吸収を邪魔しやすい代表例として知られています。
たとえばある研究では、フィチン酸を除いたパンに比べて、フィチン酸を少量(2mg)加えただけでも鉄の吸収が約18%低下し、さらに増やすと低下幅が大きくなり、250mgでは鉄吸収が約82%も減ったと報告されています。
では、フィチン酸を含むような食事と何時間程度鉄の摂取を離けたら良いのでしょうか?
残念ながら、具体的に何時間というようなデータを示すような研究はありませんが、フィチン酸がミネラルの吸収を阻害するのは事実ですので、同時摂取は避けた方がいいことは間違いなさそうです。
また、こちらの研究ではフィチン酸による鉄吸収の低下は、ビタミンC(アスコルビン酸)を同じ食事でとることで、かなり弱められることが知られています。
フィチン酸を含むような食事と鉄は同時摂取しない(これはやはり胃の中に何か物が入っているときは鉄の摂取を避けるということにも通じる)、どうしても食事のタイミングと重なる場合はビタミンCを併用するというのが実用的なアドバイスになりそうです。
また重要なポイントとして、フィチン酸が阻害する鉄は非ヘム鉄のみです。
亜鉛との相互作用(サプリの場合)
亜鉛の場合、普通の食事に含まれる程度の量では問題ないのですが、高容量のサプリメントと併用すると問題が生じそうです。
というのも、亜鉛と鉄は消化管での吸収経路が共通のため、両者は高濃度では互いに吸収を強烈に阻害し合う可能性があるからです。
目安としては、2〜4時間ほど時間をずらすと無難です。
また、カルシウム(乳製品やカルシウムサプリ)も鉄の吸収を下げることがあるため、鉄サプリと同時摂取は避けた方が安心なケースもあります。
またこれも重要なポイントですが、肺炎もやはり吸収を阻害するのは非ヘム鉄のみです。
一部の栄養ガイドラインでは、鉄と亜鉛は2〜4時間程度空けて、亜鉛を先に、後から鉄の順で飲むことを推奨しています。
カルシウム
カルシウムも鉄の吸収を阻害することが知られています。
しかもタチが悪いのは、カルシウムはヘム鉄の吸収さえも妨げ得るということです。
したがって全体的に言えることは、繰り返しになりますが、食事と一緒に鉄のサプリメントを摂取するということは避けた方が良さそうです。
POINT
高用量の鉄サプリと亜鉛サプリは時間を分ける
カルシウムとの同時摂取にも注意
鉄とビタミンEの関係
以前、ビタミンEと鉄は互いに吸収を阻害するため、8時間程度開けましょうという投稿をXでしたことがあります。
分子栄養学の祖ともいわれる三石巌氏の著書に書かれていたことをそのまま引用したような形です。
【鉄とビタミンEの関係】
三石巌氏の『ビタミンE健康法』によると摂取時間は最低8時間は空けたい。とありますね。
もし同時に摂るなら損失を考えてビタミンEは多めに摂るようにとのことだ。https://t.co/rUmzUmq6Eu pic.twitter.com/DHTWhf2g85— サプリ辞典 (@supps_jiten) April 13, 2021
しかし最近の研究によると、ビタミンEと鉄は8時間も空ける必要はないということが分かってきています。
詳細の背景を語ると長くなるので、こちらのページに譲りますが、実際には、タンニンやフィチン酸の害を避ける時間、具体的には1時間程度空けると十分と言えるでしょう。
トータルすると鉄の吸収を妨げる時間が最も長いのは亜鉛。
その亜鉛が4時間なので、食事と鉄摂取の間のインターバルは4時間あれば無難でしょう。
まとめ
ヘム鉄は吸収されやすく、非ヘム鉄は食事の影響を受けやすい
タンニン、フィチン酸、亜鉛これらが吸収を阻害するのは基本的に非ヘム鉄
- カルシウムはヘム鉄でも吸収を阻害し得る
- 食事に含まれるフィチン酸やタンニン、亜鉛などによって吸収阻害を受ける
- 食事時間と鉄の摂取時間のインターバルを考えるならば、4時間程度空ければ無難。