【栄養の基本のキを復習】なぜ高タンパクが必要なのか?

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このページを読むとわかること

・人間の体内では1日250gのタンパク質が分解している

・そのうち80%は再利用されるが、それは質の悪いタンパク質

・質の悪いタンパク質を使わずに済むためにも高タンパク食が重要

・でも、タンパク質の摂取量には要注意!

ユウ
今回は栄養療法でよく言われる高タンパク質が必要な理由についてさらっとおさらいしたいと思います。

高タンパクを理解するためのキーワード「動的平衡」

皆さんは1日に何グラムのタンパク質が必要になるか知っていますか?

厚生労働省の出す食事摂取基準によると年齢や体重差にもよりますが1日あたり50 g程度といわれています。 この算出根拠を見てみましょう。

 

人間の体内ではタンパク質の分解 である「異化(カタボリック)」とタンパク質の合成である「同化(アナボリック)」が常に同時に起こっています。

これは100%異化だけや100%同化だけといったタイミングはほとんどなく、同時に起こっています。異化側のチームと同化側のチームが綱引きをしていると考えたら良いでしょう。どっちかのチームの人間が0人で簡単に引っ張ってしまえるといったことは起こらず、戦況は時々刻々と変わっているということです。

このような状態を動的平衡と言います。 

さて、タンパク質の分解である異化に着目してみましょう。

普通の成人男性の場合、筋肉と皮膚とで32g、肝臓で23g、血清で22g、ヘモグロビンで8gのタンパク質が必要とされてます。さらに骨や心臓、腎臓などでの分解(異化)も合わせると合計165gと言われれています。

つまり、1日に250g近くのタンパク質が、体内で毎日分解されているというわけです。

タンパク質はアミノ酸という物質になり分解されるわけですが、 この分解されたアミノ酸はどうなるかと言うとアミノ酸プールと呼ばれるプールに溜められます。これは後々同化のために再利用に貯めておくプールのことです。どれくらいの割合で再利用されるかといったことは文献によってまちまちだそうですが、だいたい70から80%とされているそうです。 

つまり、1日のタンパク質の分解量が約250g、 80%(200g)は再利用されるとして 体外からは残りの50 gを補えば良いという計算になります。これが厚生省の摂取基準による50g の算出根拠と言えそうです。

(実際に厚生労働省が食事摂取基準によると体重1 kg あたり0.65 g となっています。ちょっと大柄の男性という気もしますが体重80 kg の人の場合1日あたり52 g のタンパク質で事足りる計算です) 

中古のタンパク質とは?

1日あたり50 g のタンパク質、これではちょっと足りません。再利用されたタンパク質はいわゆる「中古のタンパク質」になってしまうからです。

これは摂取したタンパク質が糖化によって質が落ちてしまうからです。

糖化とは、たんぱく質や脂質が糖と結びつくことです。 血液中に余分な糖分があると、体内のたんぱく質や脂質と結びついて変性させ、老化促進物質であるAGE(糖化最終生成物)を作り出してしまいます。 糖化は、発見した人の名前を取ってメイラード反応とも呼ばれます。

老化の原因「糖化」を防止しよう|オムロンヘルスケアより

 

では、 中古のたんぱく質が必要ないくらい新鮮なタンパク質を外から補おう。というのが高タンパクの発想です。

タンパク質の摂取量は?

しかしこれなら、ここに書いた例で言うと1日あたり250 g ものをタンパク質を摂取する必要が出てきます。これはさすがにちょっと多すぎるように感じます。 

人間が一度に吸収にタンパク質の量には限界があるからです。

これは体重×0.572 g と言われています。(参考:How much protein can the body use in a single meal for muscle-building? Implications for daily protein distribution)

POINT
人間が一度に吸収できるタンパク質の量は(体重)×0.572g

では、吸収できなかったタンパク質はどうなるかというと悪玉菌の餌になってしまいます。

1日あたり250 g のタンパク質を 1日3食ないしはプロテインシェイクを取り入れても1日4~6食で摂取しようとすると、 どうしてもこの体重×0.572 g を超える食事のタイミングが出てくるかと思います。これは腸内環境の悪化に繋がります。

そのため高タンパク質食を考えている方は腸内環境の悪化にも注意し、 イヌリンなどの食物繊維(プレバイオティクス)とプロバイオティクスのサプリと合わせて摂取することをお勧めします。 

 

※プロバイオティクスは乳酸菌などの菌の事

※プレバイオティクスはプロバイオティクスのエサになる食物繊維のことです

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ちなみに高タンパク質食と言うとすぐ「肝臓へのダメージが云々」という人が出てきますが、問題ありません。

タンパク質が肝臓へのダメージを与えるという話は、 元々肝臓にダメージがあった人がたんぱく質の摂取量を増やすとそのダメージを増大させてしまう。といった話しが誤解されているだけで、肝臓が健康な人であれば問題ないのです。

A common misconception about high protein diets is that they’re harmful to kidney health (16Trusted Source).

Research has shown that even though high protein diets increase the workload of the kidneys, they don’t negatively affect people with healthy kidney function (3Trusted Source17Trusted Source).

翻訳↓

高タンパク食についての一般的な誤解は、それらが腎臓に有害であるということです(信頼できるソースNo.16)。

研究によると、高タンパク食は腎臓の負担を増加させますが、健康な腎臓機能を持つ人々に悪影響を与えることはありません(信頼できるソースNo.3信頼できるソースNo.17)。

確かにタンパク質摂取は肝臓の仕事量を増やしますが、その他の肝臓の仕事量に比べると小さい物だ。といった内容です。

また、さっきは否定されてしまった厚生労働省ですが、このようなことも追記してあります。

タンパク質の耐容上限量は、タンパク質の過剰摂取により生じる健康障害を根拠に設定されなければならない。しかし現時点では、タンパク質の耐容上限量を設定し得る明確な根拠となる報告は十分には見当たらない。そこで、耐容上限量は設定しないこととした。

2015年 日本人の食事摂取基準より

しかしながら、 タンパク質による腸内環境の悪化に言及した通り高タンパク質食による弊害は肝臓へのダメージだけではありません。 そのために様々な事に気をつけながらタンパク質の摂取量は決定する必要があることに注意してください。

個人的には体重(㎏)×2g程度で十分だと思っています。(例:体重60㎏なら1日120g)

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