・ビタミンEと鉄の摂取は、最低でも8時間あけるべきと言われてきたが、実際にはそうでもなかった。
・現実問題として4時間あれば十分(亜鉛対策)
鉄とビタミンEの考え方をアップデート
私は以前、このような投稿をしました。
これは、三石巌氏の『ビタミンE健康法』という本を参照して投稿したものですが、この本自体古いもの(オリジナルは1982年の出版)なので、少し考え方をアップデートする必要があると思い、書いています。
【鉄とビタミンEの関係】
三石巌氏の『ビタミンE健康法』によると摂取時間は最低8時間は空けたい。とありますね。
もし同時に摂るなら損失を考えてビタミンEは多めに摂るようにとのことだ。https://t.co/rUmzUmq6Eu pic.twitter.com/DHTWhf2g85— サプリ辞典 (@supps_jiten) April 13, 2021
そもそもなぜ8時間説が出てきたか?
そもそもなぜビタミンEと鉄を8時間も空けた方がいいと言われているかというと、フェントン反応が関係しています。
鉄が関与するフェントン反応によって活性酸素が生み出され、それがビタミンEを酸化するという理屈です。
そして、その酸化されたビタミンEは効力を失います。
しかし、この考え方は近年の鉄代謝や製剤設計の理解が進んだことで、一般的なサプリ摂取レベルでは当てはまりにくいと考えられるようになってきました。
1つ目の理由は鉄は体内で剥き出しのまま血液中を漂うのではなく、多くがトランスフェリンという運搬タンパクに結合された形で運ばれることがわかってきたからです。
つまり、反応性の高い遊離鉄が常に存在するわけではないので、サプリを同時に飲んだだけで鉄がビタミンEを直接酸化してビタミンEを使えなくするという前提自体が否定されつつあるのです。
2つ目はビタミンEの形態に関してです。
ビタミンEのサプリメントは、安定性向上のためにエステル化された形で配合されることが多く、その形は酸化に対して比較的安定です。
また摂取後は体内で加水分解されてαトコフェロールとして利用されます。
健康な人では遊離型と同程度に吸収されるとされており、サプリのビタミンEが鉄と一緒になった瞬間に酸化して無効化されるということは考えづらいとされています。
同時摂取が推奨されない別の理由
しかし、別の理由でビタミンEと鉄は間を空けた方がいいとされています。
鉄はタンニンやフィチン酸の影響を避けるために、空腹状態の方が吸収が良いとされています。
一方でビタミンEは脂溶性なので、油を含むような食事と一緒に摂取した方が好ましいです。
したがって、ビタミンEと鉄が相互に邪魔し合うというようなことはないんですが、片方は空腹状態、もう片方は満腹状態が望ましいとされているため、やはり、フィチン酸やタンニンの影響が避けられる時間、具体的には1時間程度空けた方が望ましいでしょう。
ちょっと回りくどいが補足…
では、鉄と食事は1時間程度空ければ十分と言えるかというと、そうでもないかもしれません。
鉄には吸収を阻害する因子がたくさんあり、ビタミンE以外にもフィチン酸や亜鉛、タンニンなどがあります。
そして亜鉛に注目したときに、亜鉛と鉄は4時間程度空けた方が良いかもしれません。(こちらの記事を参照)
なので、周りくどくなってしまいましたが、最終的には鉄と食事は4時間空けると覚えておきましょう。
本当に空腹時で大丈夫か?
一般的に鉄分は空腹時に摂取するのが望ましいとされていますが、一方で空腹時の摂取は胃壁や腸管を荒らし、胃腸障害の原因になるという説もあります。
これらはどちらを信用すればいいのでしょうか?
これを解決するには少し整理して考える必要があります。
胃粘膜などを荒らす懸念があるのは、主に非ヘム鉄(無機鉄)の方です。
非ヘム鉄は鉄イオンがむき出しの状態にあるため、空腹時に摂取すると胃壁や腸管を直接刺激しやすいという側面があります。
一方でヘム鉄(有機鉄)は、ポルフィリン環という構造に囲まれているため、胃壁を荒らすことがほとんどありません。
また、食事に含まれるタンニンや食物繊維によって吸収を阻害されにくいという特徴もあります。
したがって、ヘム鉄を摂取する場合は、空腹時であっても大きな問題はないと考えられます。
(結論)ビタミンEと鉄は8時間も空けなくて良い
結論から言うと、多くのケースでビタミンEと鉄の摂取時間を8時間も空ける必要はありません。
鉄がビタミンEを酸化し得るという理屈はありますが、それがそのまま同時摂取によるアベイラビリティ低下や吸収速度低下につながると断言できるだけのヒト根拠は強くないためです。
一方で、分けて飲むこと自体は合理的な場面もあります。
ただし理由は酸化の理屈というより、鉄とビタミンEで最適な飲み方がズレるからです。
鉄が関与する酸化反応でビタミンEが消費され得る、という理屈自体はある
しかし、体内では鉄は結合して運ばれる設計であり、同時摂取が必ずアベイラビリティや吸収速度を落とすと断言できるほどのヒトの根拠は強くない
分けるなら酸化対策のためというより、鉄は阻害因子を避ける、ビタミンEは食事と合わせる、という最適化のために分けるのが合理的
ビタミンEと鉄を8時間も空ける必要性は多くのケースで高くない。1時間程度で十分だが、食事とのインターバルを考えると4時間が理想